毎週楽しみにしていたNHKドラマ「3000万」が終わりました。
8回って短い!ラストは何となく無理やりまとめた感もありましたが。
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毎回何が起こるかわからない展開、すべての選択が悪い方へ進んでしまう祐子(安達祐実)。犯罪者同士の疑心暗鬼や裏切り行為は、納得の行動でしたが、そんな中ソラと祐子の間には、友情めいたものが芽生えたのが興味深かったですね。3000万円の行方に関わっただけではなく、人が一人目の前で亡くなるという互いに生死を賭けた危険な事案を共有している共犯者意識がベースにあるのかも知れませんが。(あれは殺人なのか正当防衛なのか微妙なところ)
最後にソラ(森田想)は自首したものの祐子のラストについては、視聴者に委ねる方式だったので、本当の意味での結末はわからず仕舞いでした。私はこういう終わり方にはモヤモヤしてしまうタイプなのですが、ネットを見ると案外好意的に受け止めている人も多いんですね。
まっとうな職場ではパワハラ、犯罪組織では能力を認められる祐子
祐子が派遣で働いていたコールセンターにはパワハラ上司がいて、いや~な雰囲気が漂っています。一方、3000万円絡みで祐子が「かけこ」として働くことになった職場(?!)は、ただ黙々と目の前にあるリストに電話をかけていく仕事ですが、うまく行けば盛大に褒めてもらえるし、それなりに高額報酬になる。挙句の果てには、向かいに座っているもっさりしたメンバーに教えをこわれるほど、その能力を認めてもらえるという皮肉。いやいやいやいやいや、犯罪組織なんですけど、そこ。
犯罪組織の中では、リーダー的な役割だった坂本(木原勝利)がキレやすいためオンラインで「アンガーマネジメント」のカウンセリングを受けるというシーンも面白いエピソードでした。
こんな風にあちこちに皮肉が効いているのがよくて。サスペンスでありながら、時々「クスッ」としてしまう要素があったのも楽しめたポイントの一つ。
祐子がただの主婦ではなく、ソラ曰く「頭がまわるおばさん」として描かれていたのも印象的でした。回が進むにつれて、どんどん狡猾さに磨きがかかるというか。それは祐子が純粋に、息子・純一との生活を心の底から守りたいと思った親心から来るものもあったと思うのですが、そんな才能があるのであれば、まっとうな方に生かして欲しいものです。
一方、祐子の夫・義光(青木崇高)のダメっぷり!優柔不断だし、いざという時に最も頼りにならない(笑)
そもそも家計が鬼のように厳しいのも、義光がミュージシャンとして成功できなかったせいだと考えている祐子から見たら、キレたくなる要素が満載で。
義光が奥島(野添義弘)に譲ったギターを取り返しに行ったのも、義光のためじゃなくて、取り返したギターを売って少しでも家計の足しにしようと思ったからで、それを一瞬「自分のために祐子が動いてくれた」と感激した義光のアホさよ…。いちいち、イラっとさせる演技と役柄、ナイスでした。
どのキャラクターも個性的で、本当に面白かった。
今流行りの特殊詐欺の現場の一部もリアリティがあって、絶対に関わってはいけないし、子供・若者にも関わらせてはいけないと改めて思いました。
複数の脚本家でストーリーを作っていくNHKの挑戦に拍手を送りたい。
NHKのドラマと言えば、去年の12月から今年にかけて放送された「仮想儀礼」も挑戦的で面白かったなあ。↓めちゃくちゃおすすめ。