テレビ雑缶

テレビやドラマ、マンガなどの感想などをつづります。

大河ドラマ「べらぼう」の第9回は森下脚本の真骨頂!瀬川の身請け決意に涙、涙、涙

大河ドラマの「べらぼう」は視聴率が下がり続けているとかついに10%を切っているとか残念なニュースが流れておりますが、毎週楽しみに見ております。江戸中期も調べてみると、いろいろと面白いものですね。町民もそうだし、幕府のゴタゴタなども。

さて、今回は瀬川(花の井から改名/小芝風花)に身請けの話が出ているという内容。相手は、盲目の富豪・鳥山検校(市原隼人)です。少し前から瀬川のところに通うようになり、気に入って身請けしたいとのこと。身請けは、名のある武家や商家に妻や妾としてもらわれていくことで、花魁が女郎屋を出て幸せになる方法の一つと言われています。

当初は、瀬川もこれを受けるつもりだったのですが、蔦屋重三郎(横浜流星)が待ったをかけます。ここに来てようやっと瀬川を好きな気持ちに気づいた重三。身請けを阻止すべく、瀬川を連れて吉原を脱出する方法(「足抜」「欠け落ち」)を考えるという流れ。

二人ともその気になってはいたのですが、一足早く女郎の「うつせみ」を連れて足抜を試みた小田新之助(井之脇海)の二人が結局見つかって連れ戻され、うつせみは折檻を受けます。(今回は縛られて水をぶっかけられ晒しものにされていましたが、本当はもっと苛烈らしい)

それを見ていた瀬川。

さらに、女郎屋の女将に何のために花魁が身請けをするのかと懇々と諭される場面があり。

結局、瀬川は足抜を諦め、さまざまな想いを抱えながら身請けの話を受けるのでした。

重三から借りた本を返しながら、感想に見立てつつ、足抜はできないこと、身請けの話を受けることにしたことなどを、暗にほのめかす瀬川。このシーンが最高によくて、何度見ても泣いてしまいます。最後に二人だけでこっそり会って「やっぱり身請の話受けるわ」的な「光る君へ」方式の場面がなかったのがよかった。

少し強がった声で、重三にそのことを伝える瀬川。
本に挟まっていたちぎられた札を見て、すべてを悟る重三。

名場面です。書きながら思い出して泣いてしまいますね。

瀬川が最終的に、身請けを決めるまでの過程が丁寧に描かれていたのも良かった。

・同僚であるうつせみの足抜からの折檻
・女郎屋の女将の懇々とした話
・重三から借りた本

心変わりするには十分過ぎる説明でしたね。こういうところはホント丁寧で、森下脚本の真骨頂だなと思いました。

足抜では幸せになれない女郎の過酷な人生

女郎屋を足抜という非合法なやり方で抜けたとしても、結局男は博打で稼ぎ、女は夜鷹として身を売ることになると。

燃え上がっている時は、好きな人と一緒にいれるだけで幸せかも知れません。しかし、脱獄した女郎には、今でいう戸籍みたいなのがないまま生活しなければならず、仕事を探すのも難しいとのこと。普通に生活の糧を得るのが難しいのであれば、女将の言うように「男は博打、女は夜鷹」になってしまうのかも知れませんね。ちなみに、足抜したとしても、そもそも女郎は健康状態が宜しくない人も多いため、吉原を出ても数年で亡くなってしまう人も少なくないとか。

江戸時代に吉原があり、その中に女郎屋が存在していたのは知っていましたが、想像以上に過酷な人生を送っているのだなあとしみじみ思います。

ちなみに瀬川の身請け金(身代金とも言うらしい)は現在の価格で1億4000万円ほどだとか。美しくて教養もある人気花魁をもらうのは、それだけの価値があるってことなんですね。スゴイ。

・・・

一つ残念なのは、多分次回で瀬川の出番は最後ですよね…!

小芝風花の艶やかな花魁姿が好きだったので、残念です。