テレビ雑缶

テレビやドラマ、マンガなどの感想などをつづります。

話題になっていた「先生の白い嘘」の原作マンガ(鳥飼茜・作)を読んでみました

少し前に公開された映画「先生の白い嘘」。インティマシーコーディネーターを要求されたにも関わらず、監督がそれを拒否したとか、映画の公式サイトから「快楽に溺れ」の文言が削除されたりと、映画そのものよりも周辺の諸々が話題になっていたのが印象的でした。ちなみに映画は見ていません。

あらすじ:

高校教師の原美鈴は、女であることの不平等さを感じながらも、そのことから目を背けて生きている。そんなある日、親友の渕野美奈子から、早藤雅巳と婚約したことを告げられるが、早藤こそ美鈴に女であることの不平等さの意識を植え付けた張本人だった。早藤を忌み嫌いながらも、彼との行為を通して性への欲望や快楽への渇望が芽生え、呼び出しに応じてしまう美鈴。そんなある日、担当クラスの男子生徒・新妻祐希から性の悩みを打ち明けられた彼女は、思わず本音を漏らしてしまう。新妻は自分に対して本音をさらけ出してくれた美鈴にひかれていくが……。
https://eiga.com/movie/101283/

もともと「先生の白い嘘」の漫画版は、読もうと思いリストに入れてあったのですが、これを機に全巻読んでみました。

・全体的に淡々とした空気で進んでいく
・とは言え、親友の彼氏に性的暴行を受ける主人公・美鈴が衝撃的
・ドメスティックバイオレンスな表現も(こちらもかなり衝撃的な描き方)

性的搾取は主人公だけじゃなく、自分が担任として受け持っている高校のクラスの中にも存在し、一部、群像劇としてさまざまな闇を抱えた人たちの「性をからめた」人生が描かれていきます。

主人公の美鈴を蹂躙する早藤は、彼女の親友の恋人で婚約者でもあるのですが、これが鬼畜中の鬼畜であります。

映画版では美鈴を演じる奈緒が、かなり原作に寄せたイメージ作りをしていますが、風間俊介の早藤はどうかな…。ちょっと雰囲気が違い過ぎて、何かの間違いであって欲しいと思っております。もし私が早藤を選ぶとしたら、「光る君へ」で早々に主人公の母親を切りつけて殺すという暴挙に出た藤原道兼役の玉置玲央あたりですね。その前に、こういう役を事務所がOKしないかも知れませんが。

とにかく鬼畜!早藤の生い立ちだったり心に抱える闇が、そうした行動に走らせている部分はあるにせよ、一滴も共感できません。

ただ、早藤の婚約者で美鈴の親友(という設定)の美奈子が、終盤に意外な「したたかさ」を覗かせたあたりは、なかなか興味深い展開でしたが。お嬢様育ちで何不自由なく欲しいものを手に入れる美奈子は、「持ってる側」の人間。一方で美鈴は「搾取される」「持たざる側」の人間。この対比が、時に非常にせつなく心にズッシリと響きました。

そんなわけで、衝撃的なシーンや読んでいて心をすり減らす回などもあったものの、続きがめちゃくちゃ気になって、気がつけばどんどん課金し、最終回まで一気に読んでしまいました。

最後の方では、主人公も職を変えたり、服装が少し変わって本来の自分を取り戻していく様子が見てとれたのと、好きな相手と希望が持てるような終わり方だったのが良かった!特に最終のひとコマの表現が、すごーーーーーーくいいので、興味がある方はぜひとも読んでみて下さい。