テレビ雑缶

テレビやドラマ、マンガなどの感想などをつづります。

映画「紙の月」(宮沢りえ主演)を今頃見てみた感想

実は映画を見る機会が非常に少なくて。
個人的には、ハラハラドキドキしながら続きを追うテレビドラマが好きなのですが、先日ふとAmazon Prime Videoのアプリを立ち上げたら、映画「紙の月」が無料視聴できるというので、本当に何の気なしに見てしまったのです。

あらすじ:
勤務先の銀行で仕事ぶりに好評を得ながらも、夫との冷めた関係に悩む女性。ある日彼女は、大学生に迫られて不貞を働く。女としての喜びと背徳感にまみれる中、徐々に金銭感覚も麻痺していき、やがて銀行の金に手をつけてしまう。

原作は角田光代氏の同名小説。実際の事件から着想を得て書いたそうですが、特定の事件がモデルではなく、いくつかをミックスした内容になっているとのこと。

普通の主婦兼銀行員(契約社員)だった梨花(宮沢りえ)が、横領に手を染めていく過程が、淡々と描かれます。全体に抑え気味のトーンで映像が構成されていて、セリフが極端に少ない場面と、たくさんのセリフが出てくる場面が交互に登場します。

銀行に勤める登場人物も、地味で夫に言いたいことも言えない梨花に対して、行内で不倫をしながらも最後はちゃっかり違う人と結婚し寿退社する相川恵子(大島優子)が真逆のキャラとして描かれ、不正を許さない厳格な先輩として隅より子(小林聡美)が登場。バランスが取れていていいキャストですよね。

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最初は顧客から預かった1万円に手を付けるところから始まり、梨花の不倫相手に横領した200万円を貢いだことを皮切りに、どんどん金額が大きくなって闇に落ちていく様子。それに反して、どんどん不倫相手との派手な生活にはまっていく梨花。背徳感と享楽に溺れ、引き返せない主人公…。

しかし不正はいつかバレてしまうもの。
ついに、横領が行内で問題になり問い詰められた後の梨花の行動が、まさかの斜め上の展開で本当に驚きました。もちろん犯罪は許されるものではないのですが、殻を破っていく梨花に、どこか爽快感を感じたのも事実。

あの結末には、賛否両論あるようですが、映画ならではの展開に感心してしまいました。予想の斜め上を行く場面に「うおわっ?!」と思わず声が出てしまうほど。そう来たか!

ドラマにはない全体的に抑えたトーンだし、ベッドシーンも何度も出てくるし、地上波のドラマではぜったいにできないだろうなと思うシーンがいくつもありましたね。

あと一見、いい人そうな梨花の旦那(田辺誠一)のやさしさがズレまくっていて、ソフトモラハラかな?と。だから奥さんに不倫されてしまうのではと妙に納得したり。

ひょっとして公開当時、リアルタイムで有料鑑賞していたら感想が違っていた気もしなくもないのですが、今後もまた時間があればアマプラで話題の作品を見てみようかなと思っております。