何となくCMを見て気になっていたドラマ「スロウトレイン」。
リアタイできないことは決定していたので、Tverで見ようと決めていました。
本当に何となくなのですが、CMで映像を見た瞬間「これは絶対にいいドラマに違いない」と私の直感が騒いだのです。松たか子が出ているドラマはハズれがない気がしていることもありますし。なので、配信を見るまではできるだけ先入観を入れないよう、ネットのニュースは避け、SNSでもなるべく情報に触れないようにし、ほぼ先入観なしの状態で視聴し始めました。
結論から言うと、見てよかった…!
正月から無料で映画のようなクオリティの作品を見ることができて本当に嬉しい。いい時間をありがとう。
【あらすじ】
鎌倉に住む葉子(松たか子)・都子(多部未華子)・潮(松坂桃李)の三姉弟。突然次女の都子が「韓国に行く!」と言い出し、それぞれに人生という旅路の分岐点が訪れる。都子に関わる青年ユンス(チュ・ジョンヒョク)や、葉子の担当作家の百目鬼(星野源)も絡み、物語の舞台は鎌倉から釜山へ…。三姉弟のたった1日だけの忘れられない旅がはじまる!変わりゆく時代の中で普遍的であり続ける新時代の家族を描いたホームドラマ!
何か大きな事件が起こるわけではないんですよね。
でも見終わってみると、妹(多部未華子)が韓国へ移住するって相当大きな決断だし、弟(松坂桃李)に男性のパートナー(星野源)がいた、しかも結構な有名作家だったという話もこうして文字にすると人によってはセンセーショナルですよね。
でもこのドラマでは、どこか淡々とそこにある日常のように書かれています。と言っても、2つの出来事は、姉(松たか子)にとっては、多いに心を揺るがすできごとで、最初はまるで親のように(いや、ある意味親以上に)説明を求めたり、納得していないような行動をします。
その後、さまざまな出来事や、元彼のとの再会によって、きょうだい皆が家族のせいにして、本心を隠していることに気づく…そんな描き方も良かった。
先日見たNHK大奥がかなり熱めの源泉かけ流し温泉だとすれば、「スロウトレイン」はゆったりとくつろげる温度、ぬるま湯とも言えるお風呂につかるような感じでしょうか。
新春SPドラマ #スロウトレイン ゆるやかに淡々と丁寧に、一緒に生きる人と人、その組み合わせとしての家族の形を異性愛や国籍の支配を軽やかに超えて描く優しい、正月らしい野木亜希子さんドラマでした。2時間と言わず、ずっと観ていたい、ぬるめの温泉のような居心地の良さ。pic.twitter.com/st23ztjWL2
— 大島育宙【ドラマ/映画/エンタメの話】 (@zyasuoki_d) 2025年1月2日
まさに、ぬるめの温泉。
そう、そうなの。
とは言え、淡々と進む中にもギュッと心を持って行かれる瞬間はいくつかあって。私がドバっと盛大に泣いてしまったのは、弟がパートナーと暮らす決心をし、出ていった後の場面。
葉子が自分でご飯を作り、テレビでお笑い番組を見て笑いながら一人でご飯を食べるシーン。
憎まれ口をききながらも、いつもご飯を作ってくれた弟がいない。
何とも言えない寂しさ。
でも自分はそこそこ幸せにやっていけるから「心配すんな!」というメッセージ。
多分、ここで泣く人っていないんじゃないかな?というシーンだったけれど、私の中では葉子姉ちゃんの人生のすべてが詰まっていたように思えた一コマでした。そして、これは松たか子じゃないと成り立たないなと。
「寂しい」っていうセリフを使わない演出も素晴らしい。
とても素晴らしい。
・・・
そもそも3人きょうだいの両親と祖母がなくなるところから人生が始まる設定って、よく考えたら日曜劇場になりそうなぐらいのテーマですよね。
鎌倉、江ノ電、釜山、素敵な場所がリンクしながら進むのも良かったし、人生が鉄道や駅になぞらえて進むのも良かった。だから、鎌倉なのか。
人から見たらどんなにつまらない人生だとしても、本人が幸せを感じていて実際に幸せならそれでいいよね。新年早々、そんな励ましをもらったような気持ちになりました。
令和の時代の新ホームドラマという表現がピッタリきます。
スロウトレイン、確かに新時代のホームドラマかも 国際カップルや同性カップルを描きながらも「いろんな家族の形があるよね」は主軸ではなく、家族相手ならコミュニケーションをサボってもいいけど家族になりたい他人とはちゃんと話をしよう(家族をダシにするな)というところに帰着するのは新鮮
— 喬 ⚡️ 林 (@unnatural_67) 2025年1月3日
スロウトレインの脚本を担当した野木亜紀子さんは、松たか子の使い方を心得ていると見た。坂元裕二みを感じるセリフもとても良かったです。映画かな?と思う2時間、ありがとうございました。