テレビ雑缶

テレビやドラマ、マンガなどの感想などをつづります。

ドラマ「リバーサルオーケストラ」(日テレ・水10)が思いのほか良すぎた…!

軽い気持ちで見た「リバーサルオーケストラ」(日テレ・水10)。Tverの配信で、1話だけ見てみようと思ったらどハマりしてしまいました。

地方のへっぽこオーケストラを立て直していくストーリーなのですが、行政が関わって話がややこしくなる辺りは「あるある」だし、オケの練習シーンも結構リアリティがあるし、劇伴も良すぎる。

音楽に少しでも関わったことがある人に超おすすめだし、音楽に関わったことがない人でも人間再生ドラマとして楽しめると思う。視聴率は6%台ですが、もっともっと評価されていいドラマではないでしょうか。初回が最終回かと思うぐらい気持ちをつかまれてしまいました。

団の認知度を上げるのにSNSを活用すると言う今風の演出もあるし、わかりやすい敵も出てきます。大きなうねりの中に、1話ずつ完結する物語が織り込まれているので、途中から見ても大丈夫かも。最初から見たい人はTverで視聴できるので、追いつくなら今のうちに。

それにしてもオケの描写や音楽の使い方がすごくいいなあと思ったら、脚本家の清水友佳子さん、音楽経験者だったんですね。フェリス女学院短期大学音楽科卒業でピアノ講師の経験者だとか。納得の経歴。吉高由里子主演の「最愛」の脚本を担当した方です。

このドラマをきっかけに地元のオーケストラに興味を持った人もいるよう。ステキ!

劇中に登場する「児玉交響楽団」の公式アカウントがあるのもすごい。こういう仕掛けは大好きです。公式グッズも販売されるようになるかも。 

■劇伴担当は清塚信也さん

有名なクラシック曲のアレンジ、さすがです。ストーリーにぴったりだし、何なら劇伴に泣かされていると言ってもいいかも。

■ 谷岡初音(門脇麦)第一バイオリン・コンサートマスター

天才バイオリニストとして7歳からオケと共演するも、ある出来事がきっかけで音楽を辞めてしまう。が、地元のポンコツオケの立て直しに巻き込まれコンマスとして奮闘することに。

門脇麦さん、いろんなドラマで見ている印象があったので、ゴールデンの連続ドラマ主演が初めてとは意外!落ち込んだり不安になったり、細かい感情の揺れや表現がすごくいい。「ミステリと言う勿れ」のようなミスマッチの役じゃなくて良かった。ちゃんとした役だとこれだけ光るんだよなあ。

楽器を再び持つ喜びは、音楽経験者なら大いに共感できるポイントではないでしょうか。初回から「最終回か?」と思うぐらい号泣してしまいました。

■ 庄司蒼(坂東龍汰)フルート

初めて認識した役者さん。劇中では、団の給料だけでは生活できずいろんなバイトを掛け持ちしながら、途中で心が折れてしまいそうになるフルーティストの役。周囲の支援もあって団員として継続することができたのですが、奨学金の件とか、音楽を続けるにはお金がかかることとか、心にズッシリ来る社会的背景描写あり。初音の家に下宿し明るさを取り戻すが、音楽を続ける大変さを改めて垣間見ることに。

■ 小野田隼(岡部たかし)事務局長

ドラマ「エルピス」のパワハラおやじから一転、オーケストラの事務局長役。ステークホルダーが多い中での重要な調整係です。役が違ってもいい味を出している。名バイプレーヤーだなあ。

■田中圭(常葉朝陽)マエストロ(指揮者)

西さいたま市長である父親から強引に日本に呼び戻され、ポンコツオケを見ることになってしまった世界的な指揮者。厳しいし冷たいし変人だが、音楽にかける情熱はプロ中のプロ。音楽界にはこういう感じの人って少なくないです。

田中圭の指揮については、突っ込みを入れるとキリがないので今回は不問のまま見続けようと思います。

■神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ドラマに全面協力しているオーケストラ。この手のドラマは協力団がないと成り立たないですよね。「かなフィル」の愛称で親しまれているこちらはポンコツじゃなくて、バリバリに活動されているオーケストラです。

www.kanaphil.or.jp

「リバーサルオーケストラ」を見ていると、以前、読んだことがある書籍「マエストロ、それはムリですよ… 飯森範親と山形交響楽団の挑戦」を思い出してしまうんですよね。地方の弱小オーケストラが一人の指揮者と出会い、人気の団になっていく物語。実話です。

とにもかくにも、こちらのドラマは音楽経験がなくても、再生物語や人間模様を丁寧に描いた作品が好きな人であれば、絶対にハマると思います。